「パフォーマー☆北斎の挑戦」講演と美術館に行って来ました

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2016年11月に開館したすみだ北斎美術館で開催中の「大ダルマ制作200年記念 パフォーマー☆北斎」に連動した講演会と、終わったあとにすみだ北斎美術館に実際の展示を見にいきました。

先週の「正倉院展フォーラム」は読売新聞社主催でした。

「正倉院フォーラム」に行って来ました
2005年から読売新聞が毎年開催している「正倉院フォーラム東京」に行ってきました。倍率高そうだな・・・と思いながら、ダメ元で応募したら当選!この秋、奈良に正倉院...

今回は東京新聞主催です。各新聞社ともがんばってくれています。
200年前に葛飾北斎が江戸と名古屋で巨大なダルマ絵や米粒に絵を描くというパフォーマンスを披露したことにちなみ、北斎のパフォーマーとして軌跡をたどるというのが今回の展覧会の趣旨だそうです。

江戸と名古屋の都市文化

基調講演は東京学芸大副学長の大石学氏。「江戸と名古屋の都市文化」という演題で、日本史の授業で使えそうな20ページに及ぶ資料が配られました。

特に興味をひいたのは八代将軍吉宗と尾張藩主徳川宗春の攻防戦。
吉宗は享保の改革(享保元年(1716年)から約30年間)で質素倹約を旨に華美や贅沢を禁止する規制強化を推し進め、「大きな政府」による国民の生活の維持や安定を目指していたが、宗春は吉宗の改革を批判して規制緩和と「小さい政府」をめざした藩政をしいたことで幕府と対立。

この宗春というお方、享保16年4月の最初の御国入りは「浅黄色の頭巾・全身黒ずくめの衣装・駕籠に乗らず馬にまたがっていた」とか、「下屋敷に行くとき牛に乗って行った」とかいろいろ話題を振りまいていたお殿さんのようです。幕府の質素倹約令なんてどこふく風。もちろん民衆にはそれはもうウケてたとか。

こちらは徳川宗春を演じた役者を描いた『夢の跡』の一頁(Wikipediaより)
こんな風に描かれるような殿様だったんですね。

尾張城下も遊女が集まり、芝居や相撲などの興行も行われ、それ合わせて付近には商人が店を開くという好循環でもあったようです。
しかし急激な解放政策は風紀の乱れや藩財政の悪化につながり、後に宗春は軌道修正をせざる得なくなるのですが、幕府との対立や財政悪化により尾張藩重臣たちの宗春離れがはじまると、あとは坂道を転げていくだけ。最後は宗春失脚につながっていくのでした。

北斎の尾張での大ダルマパフォーマンスが文化14年(1817年)なので、宗春からは少々後の年代ではあります。北斎が名古屋を選んだのは京都(=貴族文化)や大阪(=商人文化)とは違う、江戸と同じ「武家+町人」文化の新興都市であったからではというお話でした。ようするに新しもの好きな文化ということでしょうかね。

大ダルマはどうやって描いた?

第二部はパネルディスカッション。パネリストとして大石先生と画家の山口晃さんの登場。山口さんの軽妙洒脱なトークがなんとも楽しかったです。

山口さんが2016年に横浜で行った「薪能」のための鏡板(能舞台の背景で松が描かれている)を巨大なアクリル板に描くという公開制作(YouTubeの動画はこちら)が紹介され、「計画しすぎるとつまらなくなる」「即興性が大事」と話していました。

また大ダルマは120畳(約18x11m)の大きさに描かれたのですが、どうやってこんな大きさに描くことができたかということで、人の視点は若干上を向いていることが多いが、北斎はさらに全体を俯瞰できる視点をもっていたのではというお話が興味深かったです。

第二部も内容はとても良かったのですが、主催者側のパワーポイントの操作がヘタで、必要なスライドを出すのに結構手間取っていました。事前にきちんと練習しておいてほしかったですね。

すみだ北斎美術館に行ってみました

講演のあと、すみだ北斎美術館で実際に企画展を見ました。

美術館はモダンなデザインの建物で、入口の手前の敷地は公園になっています。美術館の敷地に公園があるように見えるし、公園の敷地に美術館があるようにも見えるという不思議な一体感ぶり。

そして公園内には興味深い看板もありました。このあたりは北斎生誕の地です。

美術館はその独特な形のせいか展示室は小さめ。展示室のある3階や4階へはエレベータでの移動のみとなっています(3階から4階へは階段があります)。この日は土曜日とはいえ夕方だったせいか、それほどの混雑は感じませんでした。

企画展(常設展も観られます)の値段は大学生900円。常設展だけだと大学生300円です。

企画展の目玉は「北斎漫画」全十五編の展示です。各書は見開き1ページ分だけしか見られませんが、「気のむくままに」描かれたとは思えないクオリティがすごい!

他には、11代将軍家斉の前で披露したという「竜田川に紅葉の図」を再現してみたり(結構、絵になっていました。メイキング動画あり、チャボのピーが頑張っています)、米粒に描いたという「雀図」の再現(ルーペで見られます。小さい!)が楽しかったです。

「北斎が描いた大ダルマの原寸復元図」も展示されていましたが、展示室が小さいので上下が折り畳まれていて、全体像が分かりにくかったのがちょっと残念でした。

こちらは写真OKの場所です。桶と筆を持って大ダルマを描く気分が味わえます。

それでは!

夭折した江戸風俗研究家・杉浦日向子さんの漫画家時代の代表作。杉浦さんの絵はまるで浮世絵が漫画になったようで、まさに江戸を描くためにあるのではと思えるほど。北斎とその娘お栄を中心にして、それぞれに関わってくる人々や江戸の風俗がイキイキと描かれています。北斎ファンなら読んで損は無し!


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