「古代アンデス文明展」ー国立科学博物館

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少し前ですが、国立科学博物館で「古代アンデス文明展」を見てきました。
夜間公開だったせいか入場者は大人がほとんどで、しかも美術の展示会では少ない30~50歳くらいのサラリーマン風男性もずいぶん目につきました。古代文明は人気ありますね。

動画と発掘品を駆使した展示は、アンデス文明をあまり知らなくても興味を持ってもらえるように工夫されていました。

アンデス文明とは?

アンデス文明というと、ナスカの地上絵やスペイン人に滅ぼされたインカ帝国が有名ですが、他の文明はというと、とっさには出てきません。(というか、じっくり考えても出来てこないかも・・・)

※年表と地図は古代アンデス文明展公式サイトからお借りしてきました。

アンデス文明は、時代としては紀元前3000年頃から16世紀まで、入れ替わり立ち代わりいくつもの文化が栄えてきました。地域としては南米大陸西側の南北にのびるアンデス山脈ぞい、そして標高3000メートル以上もの高地に広がる高原や谷などの山の文化(チャビン、ティクワナ、ワリ、インカ)と、太平洋に面した海岸低地に広がる乾燥した暑い土地の文化(カラル遺跡、ナスカ、モチェ、シカン、チムー)。それぞれが互いに独自性を持ちながら影響しあっていったのです。

アンデス文明といっても、時代も繁栄した場所もそして山と低地という高低差まであって、簡単には捉えきれないのですが、今回の展示はそうしたアンデス文明を時代ごとに、そして高地と海岸という2つの場所ごとに、それぞれ特徴を見せてくれました。

※特段の断りが無い画像は展覧会場で撮影したものです。(動画以外は撮影可となっています)

海岸の文化

ペルー北部海岸のノルテ・チコ地方のいくつかの神殿遺跡は紀元前3000年頃まで遡ることが分かってきています。2009年に世界遺産となったカラル遺跡もその中のひとつです。
(画像はwikipediaよりお借りしました)

カラル遺跡より前に発見されていたコトシュ遺跡(紀元前2500年~前1800年前)により、土器の無い時代から神殿が存在していたことが分かっています。画像はコトシュ遺跡「交差した手の神殿」奥を飾っていた交差した手のレプリカ。男性と女性の手と言われています。

  

コトシュ遺跡では正方形の「神殿」が多数発見されました。こちらは1/50縮小模型で、下に「交差した手の神殿」があり、その上に人為的にほぼ同じ規模の「ニチットスの神殿」が作られています。

その後の紀元前1300年頃~前500年頃に栄えたチャビン文化において、ペルー北部高地の南側に位置するチャビン・デ・ワンタルを中心としたチャビンの宗教の広まりと各地域の交流が、最初の文化的統一といわれています。

「サル人間」の図像と「鳥に似た生物」の図像の石板。

  

そして紀元前800年~前550年のクントゥル・ワシ遺跡からは多数の黄金装飾品が発見されました。精密な細工の品としては、南北アメリカ大陸最古のものです。画像はレプリカですが、美しく精巧な細工が見てとれます。

チャビン文化が力を失ったあとに出現したのは、モチェ文化(紀元前200年頃~後700/後800年頃)とナスカ文化(紀元前200年頃~後650年頃)。モチェは「ペルーの古典芸術」として有名ですが、ナスカはまったく違った発想の独自文化を繰り広げたのです。

チャビンの「2柱の主神が描かれた鐙(あぶみ)型注口土器」と、その展開図です。アンデス文化では結局文字が発明されなかったため、こうして土器などに神話の内容を描いたりしています。土器は記録媒体として情報を伝える役割もしていたのでしょう。

 

ナスカというと地上絵ですが、こんな不思議な図が刺繍されたマントもあります。高位者のミイラ包みに使われていたマントのうちの1枚ですが、「空飛ぶ人間型神話的存在」が描かれています。人間の身体に鳥の翼がつき、チュニックと王冠を身に付けて両手に鳥を持ってるのでうすが、説明されないと最初は良くわかりませんでした。見れば見れほど摩訶不思議な図です。あの不思議な地上絵を描いただけのことはあります。

 

そしてシカン文明(紀元後800年頃~後1375年頃)。大量の黄金製品が有名です。モチェ文化から制作技術を引き継ぎ、優れた金属精錬技術と灌漑農業によって、巨万の富を生み出した文明です。ガラス越しにため息が出そうな見事な金製品の数々。

 

山の文化

ティワナク文化は標高3800mにあるティティカカ湖の湖畔にある、ティティカカ盆地で繁栄した文化です(紀元後500年頃~後1100年頃)。「石の文化」「石の文明」ともいわれ、巨大な石造建築物や一枚岩から削りだされた石彫が有名です。

画像は「ネコ科動物をかたどった多彩色土製香炉」と「リャマをかたどった土製香炉」

  

こちらはティワナクとほぼ同時代に隣り合わせて繁栄したワリ帝国の出土品。アンデスで始めての「帝国」です。画像の大型土器は植物モチーフが描かれた儀式用の大型土器。儀式が終わると割られて埋められたということは、展示されている土器は立体ジグソーパズルの成果なのですね。

 

そしてインカ帝国(15世紀前半~1572年)。ついに文字を持つことは無かったのですが、その代わりに「キープ」よばれる縄を束ねたものを使用していました。文字が無くても税金として集めた食糧や織物などの記録は残さなくてはいけないため、キープを使ったのです。そしてキープを扱う専門の役人もいたのだとか。画像はインカ帝国チャチャポヤス地方で使われていたキープです。実物は結構な大きさがありました。

ナショナルジオグラフィックのキープに関する記事が面白いです。
昨年、キープの解読に成功したハーバード大学の学生の話はこちら

買ったもの

オフィシャルガイドブックと、オリジナルブックマーカーを2枚購入しました。公式図録を買うほどではないけど、もうちょっと内容をしっかり把握したいなあという時に、こうしたガイドブックは便利です。

気が付いたら、この展覧会も今週末までです。古代文明に興味のある方はぜひ見ることをおススメします。

それでは!



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